依存の罠を突破する、知性のフィルター

シリーズ第6弾は、哲学と理性の国【フランス】。 フランスの対策を知ったとき、僕はその「冷徹なまでの理性」に驚きました。彼らはギャンブルを単なる運試しや娯楽とは見ていません。**「人間の脳のバグを突く、高度なビジネスモデル」**だと定義しているのです。

今回は、フランスが国を挙げて提唱する「依存させないための知性」についてお話しします。


1. 「自分の理性をコントロール下におく」訓練

フランスには、お酒や食事を節度を持って楽しむのが「教養ある大人(Moderation)」という文化があります。彼らにとって、ギャンブルを「禁止」することよりも先に重要なのは、**「自分の意志が、外部の刺激に支配されていないか?」**という問いです。

  • フランス流の視点: ギャンブルに溺れるのは、知性が情熱に屈した状態。自分の人生のハンドルをギャンブル運営者に明け渡すことを「理性の敗北」と捉えます。

  • 日本での実践(僕の考え): 「辞めなきゃ」と必死になるのではなく、**「今、僕の理性は自分の支配下にあるか?」**と自分に問いかけてみてください。ギャンブルに使おうとしているその思考自体が、運営側の仕掛けに「乗らされている」と気づくこと。この客観的な知性こそが、最強のブレーキになります。

2. 射幸心を煽るシステムは、すべて同じ病根である

フランスを含む欧州の規制当局は、パチンコや競馬といった伝統的なギャンブルと、スマホゲームの「ガチャ(Loot Box)」を切り離して考えません。

  • フランス流の視点: 「報酬がランダムに手に入る」という射幸心を煽る仕組みは、それがゲームであってもギャンブルであっても、脳に与える影響は同じです。

  • 日本での実践: 「これはゲームだから」「これは少額だから」という油断は禁物です。フランス流に言えば、**「脳の報酬系をハックしようとする試みは、すべて同じ罠」**です。自分の脳が、どのシステムによってワクワクさせられているのかを冷徹に分析する知性を持ちましょう。

3. 広告のフィルター:華やかな宣伝は「ただの仕掛け」

フランスの規制局(ANJ)は、ギャンブル広告が「ギャンブルを成功の近道のように見せること」を厳しく制限しています。彼らは広告を「夢を売るもの」ではなく、**「公衆衛生を汚染するマーケティング」**として分析します。

  • フランス流の視点: 華やかなCMやスターの起用は、利用者の理性をマヒさせるための「仕掛け」に過ぎません。その裏にある、運営側の「確実に利益を上げる計算」を見抜くべきだと考えます。

  • 日本での実践: 町を歩けば目に入るパチンコの看板、テレビやSNSに流れるギャンブルの宣伝。それらを「楽しそう」と受け取るのではなく、**「僕らの理性を奪いにきている高度な罠だな」**とフィルターをかけて見てください。 宣伝を「情報のプロが作ったアルゴリズム」だと見抜く知性が身につけば、広告に心を動かされることはなくなります。


結び:理性のフィルターが、あなたを自由にする

フランス流の対策が教えてくれるのは、**「依存症とは、理性がビジネスに負けた状態である」**という事実です。

でも、これは希望でもあります。 仕組みを知り、運営側の狙いを知り、自分の「知性」でフィルターを引けば、僕たちはもう「仕掛けられた情熱」に振り回される必要はありません。

ギャンブルという巨大なビジネスを相手に、僕たちが持つべき唯一の武器。それは、自分の人生を自分自身のコントロール下に置き続ける「理性」です。


参照・引用文献

今回のフランス編を執筆するにあたり、以下の公的機関の指針およびレポートを参考にしています。

  • ANJ(フランス国家賭博局)「2024-2026年 戦略計画」

    フランスにおけるギャンブル規制の最優先事項として「過度なギャンブルの削減」を掲げ、特に若年層に対する広告規制や、ゲーム内に潜むギャンブル的要素(ガチャ等)の監視を強化しています。

  • フランス公衆衛生局(Santé publique France)「ギャンブル依存症に関するリスク評価」

    ギャンブルを単なる個人の問題ではなく、公衆衛生上の課題として捉え、広告が脳に与える影響や、理性をマヒさせるマーケティングの危険性について警告を発しています。

  • 欧州消費者連盟(BEUC)「ビデオゲームにおける戦利品箱(Loot Box)に関する声明」

    フランスを含む欧州各国が連携し、ゲーム内のガチャを「ギャンブルと同じ病根を持つもの」として規制を求める根拠となっています。

投稿者 カメ吉@脱パチノート

運営者情報(このブログについて) 大学時代にパチンコに溺れ、奨学金を使い込み大学を中退。親を泣かせ、嘘を重ねるどん底の日々を経験しました。 その後、28歳で正社員として働き始めましたが、今度はボートレースにハマり、借金は最大300万円まで膨れ上がりました。何度も「もう辞める」と誓っては裏切るループを繰り返し、自分の意志だけではどうにもならない依存症の恐ろしさを身をもって知りました。 現在は、自分自身の経験と、YouTubeや書籍などで学んだ回復プログラムの知識を武器に、パチ禁・ノーギャンブルを継続中です。 【このブログで伝えたいこと】 私自身、かつては「忙しくすれば辞められる」と信じていました。しかし、学びを深める中で、依存症からの真の回復には「自助グループ」に代表されるような、孤独を埋めるコミュニティや正しい知識が不可欠であることを痛感しました。 このブログでは、300万円の借金から這い上がっている私のリアルな過程とともに、**「なぜ意志の力だけでは辞められないのか」「なぜ自助グループという考え方が最強の解決策なのか」**を、当事者の視点で紐解いていきます。 ギャンブルで苦しみ、誰にも言えない孤独を抱えている方が、一歩踏み出すためのきっかけになれば幸いです。

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