「意志の力」を捨てろ。「Higher Power」と「今日一日」の戦略

「ギャンブルを辞めたいけれど、どうしても自分を責めてしまう……」
僕が15年の依存生活から抜け出すきっかけになったのは、ある方の**「今思うと、お金のためにギャンブルをしていなかった」**という一言でした。その言葉が心に深く刺さったとき、僕の止まっていた時計がようやく動き出したんです。
あなたに合う「考え方」が見つかるまで
僕にとってはあの一言が正解でしたが、全員が僕と同じではありません。依存症からの生還ルートは、人の数だけ存在します。
だからこそ、このブログでは「僕のやり方が唯一の正解だ」とは言いません。世界中にあるさまざまな依存症との向き合い方、その考え方をシリーズで紹介していきます。
今回の第2弾は、**【アメリカ編】**です。
この記事の考え方が、あなたに合うかどうかはわかりません。もし響かなければ、スルーして大丈夫。でも、もしも読み進める中で「あ、これは自分のことかも」と思う一言があれば、それを大切に持ち帰ってみてください。
僕が脳の主導権を奪還した物語はこちら
1. 「Higher Power」:バグった脳に主導権を返さない

アメリカの回復プログラムで最も重要な言葉、それが Higher Power です。
これは特定の宗教の神様のことではありません。**「嘘をつき、自分をハッキングしてくる自分の脳よりも、もっと正しくて信頼できる外部の基準」**のことです。
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なぜ必要か: 依存症の脳は「今日だけは勝てる」と自分を騙すプロです。自分一人の脳内で戦うのは、敵のホームグラウンドで試合をするようなもの。
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どう使うか: 判断を自分の脳に任せず、「お天道様」や「理想の自分」、あるいは「依存症から生還した先人たち」なら今の自分に何と言うか?という**「外部の視点」**に主導権を預けてしまいます。
自分の「意志力」に頼るのを辞め、外部の基準に**「降伏(サレンダー)」**する。皮肉なことに、この「お手上げ」こそが、脳のバグをバイパスする最強の戦略になります。
2. 「One Day at a Time」:目標を極限まで細分化する

アメリカの克服現場で、合言葉のように使われる格言があります。
「One Day at a Time.」(今日一日だけを生きる) —— アメリカの回復コミュニティにおける普遍的なスローガン
僕たちはつい「一生辞めなければならない」という巨大な重圧に押しつぶされ、そのストレスから逃げるためにまたパチンコを打ってしまいます。
アメリカ式の戦略は、「一生」なんて考えないことです。「一生は無理でも、寝るまでの『今日一日』だけは打たない」と、目標を極限まで小さくします。脳にかかるストレスを最小限に抑え、「今日を乗り切った」という小さな成功体験を積み重ねることが、結果として1年、10年の生還に繋がっていくのです。
3. 日本で「他力」を借りるための現実的な答え

しかし、独りきりで「外部の視点」を持ち続けるのは簡単ではありません。アメリカがこの手法で成功しているのは、自力を捨てて**「他力」**を借りる仕組みがあるからです。
① GA(ギャンブラーズ・アノニマス)という「共同体」の力 アメリカで生まれたこの集会は、日本全国にも存在します。「自分の意志ではどうにもならない」と認めた仲間が集まる場所は、まさにあなたの Higher Power になってくれます。
② 150万の借金で僕が感じた「安堵」の正体 僕が借金を隠し通せず、親にバレた時に感じたあの不思議な安堵感。あれこそが「自力の限界」を認め、他人に主導権を渡した瞬間の「降伏(サレンダー)」でした。一人で戦うことを諦めたとき、初めて回復の酸素が脳に行き渡ったのです。
4. 「意志」ではなく「物理」で退路を断つ
アメリカでは、意志に頼らない物理的な工夫も徹底しています。
「If you don’t want to get a haircut, don’t go to the barbershop.」 (散髪したくないなら、床屋に行くな) —— 回復者の間で語り継がれるシンプルな教訓
「打ちたくなっても我慢する」のではなく、「打ちたくなる場所に近づかない」。パチンコ屋の前の道を通らない、スマホからギャンブル関連の情報を遮断する。Higher Power を信じるとは、自分の弱さを認め、**「戦わなくて済む環境」**を整える知恵のことでもあります。
結びに:一人で戦わなくていい
アメリカ式の教えを要約すると、こうなります。 「君の意志力はもう十分に戦った。だから、これからはその力を『外部の助けを借りるため』に使おう」
完璧な人間である必要はありません。 ただ、「自分の脳の判断」を少し疑い、もっと大きな流れ(Higher Power)に身を委ねてみる。
「今日一日だけは、自分の脳に騙されない」
そう決めるだけで、あなたの明日は少しだけ軽くなるはずです。 完璧な反省はいりません。ただ、「どうすれば辞められるか」と考え、この記事を最後まで読んだ。その事実こそが、あなたが回復へと向かっている証拠です。
今後も、世界中のさまざまな考え方を発信していきます。いつか、あなたの時計を動かす「運命の一言」に出会えるまで、一緒に歩んでいきましょう。
