依存症の教科書:STEP 1

「意志の弱さ」で片付ける前に知ってほしい、脳と周囲の意外な関係

最近、大きなニュースの影響で「ギャンブル依存症」が注目されています。でも、世間の反応を見ると、多くの誤解があると感じます。15年この病気と戦ってきた私から、ギャンブルをしない人にも届くよう、まずは「正体」を優しく解説します。

1. 「厳しい正論」が逆効果になる理由

依存症の人を見て「自業自得だ」「甘えるな」と厳しく突き放したくなるのは、人間として当然の感情です。しかし、実はこの「正論による孤立」こそが、依存症を悪化させる最大の栄養源になってしまいます。

居場所を失い、孤独になった当事者は、その惨めな現実から逃げ出したくなります。脳が「手っ取り早くこの苦しみ(現実)を消したい」と判断した結果、さらにギャンブルを求めてしまう。つまり、厳しさが再発の引き金になるという皮肉なループが生まれるのです。

2. 「肩代わり」という優しさの罠

一方で、家族が陥りやすいのが「借金の肩代わり」です。しかし、これも実は解決を遠ざけます。

罪悪感のループ:
助けてもらうと一時的にホッとしますが、すぐに猛烈な「申し訳なさ(罪悪感)」が襲ってきます。依存症の脳は、このストレスに耐えられません。その結果、「この罪悪感を消すために、また勝負して取り返そう」という異常な思考に向かってしまうのです。

3. 周囲ができる「本当のサポート」とは

依存症を本気で解決したいなら、感情的に叩くのでも、盲目的に助けるのでもなく、「病気を正しく知る」という冷静な距離感が必要です。

これからの教科書で伝えていくこと:

  • 感情ではなく仕組みで見る: 意志の弱さではなく「脳の故障」と捉える。
  • お金は出さず、出口を教える: 断固として援助は断り、代わりに専門機関や自助グループの情報を渡す。
  • 見下さず、理解する: 孤立させないことが、回復への最短ルート。

この「教科書シリーズ」を通じて、依存症の正しいリテラシーを広めていきたい。それが、あなたの大切な人や、社会を守ることにつながると信じています。

STEP 1 のまとめ

  • 「厳しさ」が孤独を生み、ギャンブル欲を加速させる。
  • 「肩代わり」が罪悪感を生み、再発の理由を作る。
  • 「正しく知る」ことが、当事者を救う第一歩。

次回、【STEP 2:心理編】「負けているのになぜやめないのか?」
非依存者が最も理解できない、当事者の「異常な思考回路」を紐解きます。