職場で聞いた「勝てる理論」の違和感
先日、職場の競馬好きな仲間が、目を輝かせてこう言いました。
「YouTubeで競馬の勝ち方を手に入れた!これ、確率論ですごい納得感があるんだ」
その内容は「上位人気の複勝率」や「期待値」など、いかにも数学的に勝てそうな数字の羅列でした。しかし、15年の依存から生還し、理性のフィルターを持つようになった今の僕は、冷徹にこう感じたのです。
「ああ、彼は今、情報のプロにハックされているな」
1. 「必勝法を見ても勝てない」情報のパラドックス
なぜ、緻密な確率論を学んでも、僕たちは勝てないのか。その理由は、配信者の理論が間違っているからではありません。「情報を公開した瞬間に、その価値が失われていく」というギャンブル界の冷酷な仕組みがあるからです。
オッズというパイの奪い合い
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勝てる方法なら「独り占め」が当たり前:
競馬は参加者同士で金を奪い合うゲームです。もし本当に100%勝てる「宝の地図」を見つけたなら、誰にも教えずに自分一人で買い続けるのが最も合理的で、人間として自然な行動ではないでしょうか。 -
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教えることで自分の首を絞める:
同じ買い目を持つ人が1,000人、10,000人と増えれば、配当(オッズ)は劇的に下がります。必勝法を公開して広めることは、自ら「勝ち分」を減らす行為に他なりません。
2. 数字を使った「説得力」の罠
配信者は「90%以上の確率で……」といった魅力的な数字を使って、僕たちの理性をマヒさせます。これはフランス編で学んだ「理性のフィルター」を回避するためのハックです。
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「90%オーバー」という数字は、かつての僕のような依存傾向のある人間にとって、何よりも強力な安心材料(=依存の言い訳)になります。
配信者の本業は、馬券を当てることではなく、動画を再生させて広告収益を得ること。「勝てそう」と思わせる納得感こそが、彼らにとっての利益の源泉なのです。
3. 結び:自分の人生を「誰かの再生数」に使わない
「その必勝法、あなたが知った時にはもう手遅れです」
仲間の喜びを見て切なくなったのは、その情報の先に待っている絶望を、僕が誰よりも知っているからです。
大切なのは「必勝法を探すこと」ではなく、「なぜその情報が、わざわざ自分に届けられたのか」という裏の意図を見抜くこと。情報のハンドルを握り直し、他人が作ったアルゴリズムから抜け出しましょう。
