「忙しいから行かない」は“辞めた”とは言わない

【はじめに:忙しさに逃げているあなたへ】
「パチンコに行かないために、あえて仕事を詰め込んでいる」 「休日は予定をびっしり入れて、パチンコ屋の前を通らないようにしている」
もしあなたが今、そうやって必死にパチンコを断とうとしているなら、まずは自分を褒めてあげてください。その「行かないための努力」は間違いなく素晴らしい一歩です。
しかし、あえて厳しいことを言わせてください。 「忙しいから行かない」のは、まだ本当の意味でパチンコを“辞めた”とは言えません。
なぜなら、その状態は「行かない選択」をしているのではなく、単に「行く時間がないだけ」だからです。今回は、20億円を溶かした元社長の持論への違和感を紐解きながら、一生パチンコに振り回されない「真の回復」についてお話しします。
「まずは物理的にパチンコから距離を置く。そのための具体的な『遮断のコツ』については、こちらの記事で詳しく解説しています。」
1. 「忙しくする」ことの絶大なメリットと、その限界
まず勘違いしないでほしいのは、「忙しくして物理的に遮断すること」自体は、絶対にやったほうがいいということです。
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一時的に脳を休ませられる: パチンコのことを考えない時間を作ることで、脳の炎症を鎮めることができます。
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仕事が楽しくなる可能性: パチンコに使っていたエネルギーを仕事に向ければ、成果が出て、健全な達成感(ドーパミン)を得られるケースもあります。これは非常にポジティブな変化です。
やらないよりは、100倍マシです。しかし、問題はこの「忙しさ」という薬には期限があるということです。
2. 仕事が忙しいのは「一時的」でしかない

人生には必ず、波があります。
今はプロジェクトが忙しくて夜遅くまで働いているかもしれません。しかし、そのプロジェクトが終わったら? たまたま有給休暇を取ったら? あるいは、定年退職を迎えて、毎日が日曜日になったら?
「忙しさ」を盾にしている人は、「空白の時間」が訪れた瞬間に、無防備な状態に晒されます。 実際、現役時代はバリバリ働いてギャンブルを断っていた人が、退職した途端にパチンコ屋の開店待ちの列に並んでしまうケースは後を絶ちません。
3. お金持ちになっても「解決」にはならない

先日、20億円を溶かした元上場企業社長のインタビューが話題になりました。彼は記事の中でギャンブルに行かない対策としてこう語っています。
「人は、暇があれば習慣でギャンブルをしてしまうので、物理的に暇をなくすことですね。仕事を無理やりにでも忙しくするんです。」
出典:ギャンブルで20億円を溶かした元上場企業社長「正しく遊べば、決して“やってはいけない事”ではない」 (2025年12月29日) – エキサイトニュース
確かに、一見すると正論に聞こえます。しかし、私にはどうしても拭えない違和感がありました。
なぜなら、「仕事が忙しい」という状態は、依存症の根本的な解決(脳の回路の修復)にはなっていないからです。
20億円あっても、依存症の脳は満足しません。次は40億、次は80億と、刺激のハードル(ドキドキコスト)が上がり続けるだけなのです。お金で解決しようとするのは、ガソリンで火を消そうとするのと同じです。
4. 依存症の「脳」は、静かに隙を狙っている

依存症の本質は、心や根性の問題ではなく、脳の回路のバグです。
忙しくしている間、その回路は消えたわけではなく、ただ「休眠」しているだけです。 ふとした休日の午後、やることがなくて手持ち無沙汰になった瞬間。脳内の依存回路がパッと目を覚まし、「今日くらい、いいんじゃない?」と甘く囁きます。
「予定がない休日でも、目の前にお金があっても、パチンコを選ばない自分」 この土台ができていなければ、一生、予定表を真っ黒に埋め続けなければならないという、終わりのない徒競走を続けることになってしまいます。
5. 暇な日に行ってしまっても、自分を責めないで

もし、この記事を読んでいるあなたが、予定のない日に耐えられずパチンコに行ってしまったとしても、自分を「ダメ人間だ」と責めないでください。
それは、あなたが弱いからではありません。「依存症という病気の症状」が出ただけなのです。
熱が出たら「風邪のせいだ」と思うように、パチンコに行ってしまったら「依存症のバグが動いたんだな」と立ち返ってください。自分を責めすぎると、そのストレスを解消するためにまたパチンコに行くという、最悪のループに入ってしまいます。
大事なのは、そこからどうやって「バグが起きにくい環境」を作るかです。
6. 自助グループ:予定がなくても「行かない自分」を作る場所

忙しさに頼らずにパチンコを断つ。そのための最強の解決策が**「自助グループ(GAなど)」**への参加です。
自助グループの公式サイト
自助グループには、何十年もパチンコを辞め続けている「回復のプロ」たちがいます。彼らは皆、現役時代は忙しく働いていた人ばかりです。彼らがどうやって「定年後の余暇」や「ふとした休日の渇望」を乗り越えているのか。その具体的な知恵を共有しています。
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「予定がない日、どうやって過ごしているか」
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「打ちたくなった時、誰に電話しているか」
こうした「生きた知恵」を学び、仲間と繋がることで、あなたの脳は「忙しさという鎧」がなくても、パチンコという毒を拒絶できるようになっていきます。
7. まとめ:今日から「真の回復」を始めよう
「忙しくする」ことは、回復への素晴らしいスタートです。でも、それをゴールにしないでください。
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忙しさを利用して、脳を休ませる。(まずはこれ!素晴らしい!)
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同時に、自助グループなどで「根本的な治療」を始める。
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「時間があっても行かない自分」を少しずつ作っていく。
パチンコを辞めた先にあるのは、予定を埋め尽くす忙しい毎日ではなく、「何もしない時間」を穏やかに楽しめる自由な人生です。
私は150万円の借金を返し、5年かけてその自由を取り戻しました。 忙しさに逃げなくても大丈夫な日は、必ず来ます。次は、その土台作りを一緒に始めましょう。
